ヴィンテージジュエリーに魅せられた人なら、一度は目にしたことのあるブランド「Napier(ネイピア)」。
100年以上にわたりアメリカで愛され続けたこのブランドは、クラシックで洗練された美しさをもちながらも、モダンで大胆なデザインも展開し、時代ごとのスタイルをリードしてきました。
本記事では、Napierの歴史・デザイン・刻印・代表的デザイナーまで、ヴィンテージジュエリー愛好家のために深掘りしてご紹介します。
Napierとは?アメリカを代表するヴィンテージジュエリーブランド
Napierのはじまりは1875年。マサチューセッツ州でWhitney & Riceとして創業し、銀製の時計チェーンやマッチボックスを製造していました。
1882年にはシルバー製品の街として知られるコネチカット州マーリデン(Meriden)に移転。ここで本格的なシルバージュエリー製造をスタートし、1922年に「Napier Company」へ改名されます。
それ以降、Napierは「身につけるアート」としてのジュエリーを追求。アメリカの百貨店カルチャーの中でも定番のブランドとなり、ヴィンテージジュエリーの世界で不動の地位を確立しました。
ブランドは1999年まで続き、その年に惜しまれつつ幕を閉じました。
代表的なデザイナーたちとそのスタイル
Napierがヴィンテージジュエリーファンから高く評価されている理由のひとつが、専属デザイナーたちのセンスと技巧にあります。
William Rethenmeyer(ウィリアム・レゼンマイヤー)
Napierの黄金期を支えたデザイナーのひとり。1950年代〜60年代にかけて、建築的でモダンなラインや植物・動物モチーフを得意としました。ユニークな形状のバングルやボリューム感のあるイヤリングなど、日常にアートを取り入れるようなアイテムを多数手がけました。
Eugene Bertolli(ユージン・ベルトーリ)
1950〜60年代に活躍した重要人物。彼のデザインは、ナピアらしい知的で彫刻的なジュエリーに大きな影響を与えました。アールデコやミッドセンチュリーに通じるラインが特徴で、今でもヴィンテージジュエリーとしてコレクターズアイテムの中でも非常に人気があります。
Napierのデザインと魅力
Napierのジュエリーには、フェイクパール、エナメル加工、アートガラス、チャーム、コインモチーフ、アンティーク調の意匠など、多彩な素材とスタイルが用いられています。
人気のシリーズ・モチーフ:
ゴールドトーンのチャームブレスレット
エキゾチックなコイン風ネックレス
美しいカラーパレットのアートガラス製ブローチ
1960年代のミニマルでスカルプチュアルなデザイン
1960年代には、1,200種類以上のデザインが存在していた記録もあり、今見ても新鮮に感じられる先進的なスタイルが数多く誕生しました。
刻印で見るNapierジュエリーの年代判別
ヴィンテージジュエリーをコレクションするうえで重要なのが「刻印(サイン)」。Napierでは時代によってロゴが変更されており、アイテムの制作年代を特定するヒントになります。
1922〜1965年頃:「NAPIER」(全大文字ブロック体)
1965年頃〜1999年:「Napier」(スクリプト体 筆記体)
この切り替えは1965年頃に行われ、ブロック体ロゴは古く、スクリプト体は後期のものと判断されます。いずれもエレガントで、アイテムの魅力を引き立てるディテールです。
Napierが愛され続ける理由
Napierは、ファッション性、品質、歴史性を兼ね備えたブランド。コスチュームジュエリーでありながら、まるで本物のジュエリーのような気品があり、今日でも世界中のコレクターやデザイナーから熱い支持を集めています。
特に、1950〜60年代のアイテムはミッドセンチュリーデザインの傑作として扱われ、アートピースとしても評価されています。
まとめ:Napierの魅力を一言で表すなら?
「時代を超えて、身につけられる美術品」
Napierはただの装飾品ではありません。それは、歴史・技術・創造性が凝縮されたアートであり、あなたのスタイルに静かに輝きを添える、永遠の名品です。