Trifari(トリファリ)ヴィンテージジュエリー|時代を超えて愛される名作アクセサリー

Trifari(トリファリ)ヴィンテージジュエリー|時代を超えて愛される名作アクセサリー

 

歴史

1920年代以来、**Trifari(トリファリ)**は、アメリカにおけるコスチュームジュエリーの最も成功したメーカーの一つとして広く認識されています。

1883年、イタリアのナポリで生まれたGusabo Trifari(グスタボ・トリファリ)は、祖父が経営するゴールドスミスの店で働きながら、ジュエリー制作の技術と知識を身につけました。

1904年にアメリカのニューヨークに移住したグスタボは、叔父と共にコスチュームジュエリーの製造を始めます。続く1910年、グスタボと叔父はTrifari & Trifariという会社を設立し、ジュエリーの販売を開始しました。しかし、その後すぐに独立を決意し、1912年にはハイクオリティなコスチュームジュエリーの製造・販売を行うTrifariを設立しました。

1917年Leo Krussman(レオ・クルスマン)がセールスマネージャーとして就任。その翌年、会社の成功により、社名はTrifari & Kussmanに変更されます。

さらに1923年、セールスマンとして加わったKarl Fishel(カール・フィッシェル)によって、会社は大きく成長し、社名はTrifari, Kussman & Fishel (TKF)に変更されますが、一般的にはTrifariという名称で広く知られるようになりました。

Alfred Philippe(アルフレッド・フィリップ)

1930年から1968年までコスチュームジュエリーデザインの巨匠として活躍し、カルティエヴァン クリーフ&アーペルなどの高級ブランドをクライアントに持ち、William Scheerのデザイナーも務めていたAlfred Philippe(アルフレッド・フィリップ)は、**Trifari(トリファリ)**のメインデザイナーに就任し、その名を一躍有名にしました。

アルフレッド・フィリップが手がけたジュエリーデザインは、コレクターに非常に高く評価されており、特に**Trifari(トリファリ)**での作品は、非常に高値で取引されることもあります。彼のデザインは、ヴィンテージジュエリーの中でも一際目を引く存在です。

フィリップは、カルティエのファインジュエリーのコレクションにおいて、宝石をジュエリーの裏からセットする手法を提案し、石の輝きを最大限に引き出す技術を生み出しました。この方法は、非常に高度な職人技を必要とし、彼のジュエリーは今でもその技術と美しさが称賛されています。

また、**Trifari(トリファリ)**では「ダイナマイトキング」と呼ばれ、スワロフスキーをふんだんに使用したデザインが特徴的です。彼の作り出すピースは、豪華で華やかなものが多く、特にコレクターやジュエリーファンの間で高い評価を受けています。

 

ラインストーンがきらびやかなアルフレッドの作品。どれも華やかなものが多い

 

王冠とジェリーベリー:Trifariのシグニチャーピース

王冠ジェリーベリーは、Alfred Philippe(アルフレッド・フィリップ)の代表的なデザインであり、Trifari(トリファリ)の中でも特に人気のあるシグニチャーピースです。これらのピースは、大きな丸いカボションを特徴としており、その華やかで高貴なデザインが多くのコレクターに愛されています。

特に有名なのは、1941年に発表された王冠のブローチです。このブローチは、Trifariの象徴的な作品となり、以後数十年にわたって製造されました。1950年代まで、色やデザインのバリエーションが増え、3つのサイズで展開されました。さらに、1953年には、エリザベス2世の戴冠式を祝うためのスペシャルエディションが製作されるなど、その歴史的背景も魅力の一つです。

初期のピースでは、戦時中のためスターリングシルバーが使用されており、特にサイズが大きいものは、高値で取引されることが多いです。また、カラフルな左右の大きなカボションと、ちりばめられた小さなクリアのスワロフスキーが、これらのピースの美しさを一層引き立てています。

Trifariのコレクターであれば、王冠ジェリーベリーのピースを手に入れることは、一つの目標となることでしょう。

ジェリーベリーは動物や昆虫モチーフが数種類ありどれも高価

コレクターなら一つは手にしたい王冠。こちらも高価で年々値が上がっています

 

TRIFARI PAT PENDの刻印は、1932年から1954年の間に使用されていたもので、この期間はジュエリーデザインに対する著作権が確立されていなかったため、デザイナーたちは専売特許を申請することで、自らのデザインを守っていました。この刻印は、特にAlfred Philippe(アルフレッド・フィリップ)がデザインしたピースに多く見られます。

当時、ジュエリーデザインはまだコピーライトの対象ではなかったため、**PAT PEND(特許申請中)**の刻印は、Trifariのジュエリーが独自のデザインであることを証明し、他社からの模倣を防ぐ役割を果たしていました。これにより、Alfred Philippeの革新的なデザインが守られ、Trifariのジュエリーがその後も高い価値を持ち続けることとなりました。

 

Pat Pendの刻印。ネックレスはクラスプの内側や、モチーフの裏につくことがあります。

 

Trifanium:Trifariの高品質メッキ技術

**Trifari(トリファリ)**は、ヴィンテージコスチュームジュエリーブランドの中でも、Coro(コロ)に次ぐ人気を誇る一方、品質面ではTrifariのほうが上だと言われています。その大きな理由の一つが、独自の高品質なメッキ技術「Trifanium(トリファニウム)」の存在です。

多くのヴィンテージジュエリーでは、経年によりメッキが剥がれてしまうことがよくありますが、Trifariumはそうではありません。剥がれるというよりも「薄くなる」印象で、多少くすんでいてもポリッシュすれば元のような輝きを取り戻すことができるため、まるで本物のゴールドのようだと評価されています。

1942年、戦時中の金属規制によりTrifariはベースメタルにスターリングシルバーを使用するようになります。結果として製品価格は上がったものの、その品質の高さが支持され、販売に影響はありませんでした

また、Trifariでは、合金を削り出してからポリッシュし、その上に丁寧にメッキを施すという工程を経ることで、表面の滑らかさと光沢感を実現しています。この手間のかかった製造方法も、Trifariのヴィンテージジュエリーが現在も高く評価されている理由の一つです。

 

まるでスターリングのような滑らかさとツヤがあるトリファリウム 

 

Day & Night 両用のパリュールセット:Trifariの洗練されたデザイン

1950年代から60年代にかけて、Trifari(トリファリ)は、自然をモチーフにした美しいパリュール(ネックレス・ブローチ・イヤリングなどのセット)を数多く発表しました。これらはデイウェアとしてデザインされ、特に人気を博しました。

特徴は、テクスチャー加工が施されたメタルラインストーンやフェイクパールの組み合わせによる、繊細かつ洗練されたデザインです。どれも一目で「Trifari」とわかる完成度の高さを誇ります。

当時は昼と夜でジュエリーを付け替える文化があったため、昼夜問わず着用できるこのパリュールは、働く女性やおしゃれを楽しむ女性たちの間で高い支持を得ていました。

パールをあしらったナチュラルモチーフが多い。大変人気で手に入りにくくなってきました

 

復刻デザインとAlfred Philippeの影響

1950年代初頭、**Alfred Philippe(アルフレッド・フィリップ)が手がけたデザインの一部が、当時のトレンドに合わせて再構築(リデザイン)**され、Trifariから復刻ラインとして登場しました。

オリジナルの華やかで光沢のあるミラーフィニッシュのピースには、繊細なエッチング落ち着いたマット加工が施され、よりエレガントで控えめな印象に変化。眩いラインストーンが特徴のパヴェスタイルも、あえて艶を抑えることで、洗練された現代的な雰囲気にアップデートされています。

このような復刻コレクションは、上品でシックな装いを好む層にも人気を博しました。

 ツヤのあるものがアルフレッドのオリジナル。テクスチャーのあるものはのちに発売されたもの。

 

日本人デザイナー・松本邦夫によるTrifariコレクション

1970年代、Trifari(トリファリ)のデザインを手がけた日本人デザイナー・松本邦夫(Matsumoto Kunio)によるコレクションが存在します。彼は自然をモチーフにした作品や、アブストラクト(抽象的)なデザインを得意とし、他のTrifari作品とは一線を画す独自の世界観を築きました。

彼のデザインしたピースは大ぶりで華やかなものが多く、そのユニークさと希少性から、世界中のコレクターに高い人気を誇ります。現在でも市場に出回ることは非常に少なく、ヴィンテージジュエリー愛好家にとって憧れのコレクションとなっています。

 刻印はトリファリとKunio Matsumoto と入る。どのピースもレアなため高価で取引されます。

 

後期のTrifariとリミテッドエディション・ジュエリー

Trifari™ラインは、1990年代に展開された比較的新しいコレクションであり、厳密には「ヴィンテージ」とは呼べない年代ではありますが、**“最後のTrifari”**として現在コレクターの間で注目されています。

この時期のジュエリーには、エナメルや小さなラインストーンを使用したモダンなデザインが多く見られ、現代的な感性とTrifariのクラシカルな魅力を融合させた仕上がりとなっています。

中でも特に人気が高いのが、1990年代後半に販売された「Limited Edition(リミテッドエディション)」シリーズです。このシリーズは、各デザイン300点前後という限定数で製造された復刻ラインで、1940〜50年代の名作デザインを高品質で再現しています。

「Limited Edition」シリーズは、他のTrifari™商品よりも希少性が高く、コレクターズアイテムとして高値で取引されています。オリジナルの箱や認定カードが付属しているものは、さらに価値が上がる傾向にあります。

™刻印の限定ピース。箱入り、カード付きはレア

 

その後、2000年にTrifariは他社に買収され、ブランドとしての方向性が大きく変わりました。現在もTrifariの名前を冠したアクセサリーは販売されていますが、これらは現代アクセサリーとして位置づけられ、オリジナルのTrifariとは全く異なるものとして扱われています。

多くはアジア圏で大量生産された安価なアクセサリーであり、ヴィンテージTrifariが持つ高い品質や芸術的価値とは一線を画すものです。そのため、コレクターや愛好家の間では、1950〜70年代以前のオリジナルTrifariと、2000年以降の現代品を厳密に区別するのが一般的です。

Trifariの刻印について

Trifari(トリファリ)は、いち早く「すべての商品に刻印を入れる」ことをブランドポリシーとして宣言した数少ないジュエリーブランドです。したがって、刻印のないTrifariジュエリーが存在することは、基本的にあり得ないとされています。

まれに市場で「Trifari」として販売されているにもかかわらず、刻印がないアイテムを見かけることがありますが、それらは本物ではない可能性が高いと考えられます。

また、Trifariが非常に人気を博した時期には、いくつかの模倣品(フェイク)も出回っていたと言われています。さらに、Trifariは一部のデザインを外部デザイナーに外注していたこともあり、他のメーカーのジュエリーと全く同じ意匠のブローチやイヤリングなどが存在することも確認されています。ただし、これらは非常に稀なケースです。

近年では、中国やイタリアなどで製造された“偽物のTrifari”も流通しており、粗悪なメッキや安っぽい仕上がりが特徴です。Trifariジュエリーを複数お持ちの方であれば、質感の違いにすぐ気づくかもしれませんが、購入の際には十分ご注意ください。

 

刻印と年代 Trifariはそのアクセサリーの刻印により大体の年代を見ることができます。

一番初めになるTK
初期の”KTF”は1935年迄、
Crown Trifari(Tの文字の上に王冠) 1930年代~1960年代
Crown Trifari©(Tの文字の上に王冠) 1955年~1960年代
T文字のハングタグ 1950年代~1960年代
Trifari© 1970年代~1980年代Trifari ™ 1980年代〜1990年代


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