Sarah Coventry & Emmons サラコベントリーとエモンズ

Sarah Coventry & Emmons サラコベントリーとエモンズ

どちらかといえばSarah Coventryの方が人気があり、Emmonsはその姉妹ブランドとして思われがちですが、初めにできたのがEmmons。

EmmonsはCH Stuart Companyによって1949年に設立されてたホームパーティーでジュエリーを販売する形式の会社です。

CH Stuart CompanyはChares W Stuartによって設立されたもともとフルーツの木や花をメールオーダーで販売している会社でした。

同社で働いていた息子のChares H Stuart (以下 CH Stuart)の息子であるBill Stuart が会社の社長に就任した際に設立したのがEmmonsの始まりです。

CH Stuartの妻の名前から Calorie Emmons と名付けられその後Emmons Inc と変更されます。

同じ年の11月、2人は”Sarah Coventry (Sarah Ann Coventry)”を設立します。

どちらも”Fashion Leader”であるホステスが主催するハウスパーティーで販売される形式の商品でした。ホステスは販売数に応じて会社からリターンがもらえる歩合制で、社員割引のような特典もありました。

Sarah Coventryのパッケージ クリアケースのものが多い 他にペーパーボックスなどそれぞれの商品に番号と名前がつけられるので製造された時代などが調べやすいですね

Sarah Ann Coventryの名付けには諸説ありCH Stuartの孫、もしくは娘からとった説が一番多く言われていますが孫の実際の名前は Sarah Cocventry Beale であり、一致しません。

他の説にBill Stuartの姪が1949年生まれ、その名前からとった説があります。

CoventryはStuart一家が初めてイギリスに住んだ際の地名からとったものだと言われています。

Emmons

EmmonsはSarah Coventryの少し高級ラインであり、実際にコレクターの間でも全体的にSarah Covenrtyより高く買われています。

また、レアなピースも多く、パリュールなどを揃えて見つけるのはやや難度が高めです。

Emmonsパリュール dogwood 50年代 ©︎EMMONS刻印

初期刻印は『EMJ』1955年以降は『©︎EMMONS』が使われています。
ジュエリーの製造は自社でなくProvidence Jewelry Companyが作っていましたが、その品質はしっかりと管理されたものでした。
『Good Looking & Easy』美しいジュエリーを手軽にと、主婦層をターゲットにしていました。
50年代、Sarah Coventryが非常に人気になると、Emmonsの名前で主催されたホームパーティーでSarah Coventryの商品を販売することもありました。

Sarah Coventry

Sarah CoventryはEmmonsのすぐ後に設立された会社。Emmonsと同じ販売スタイルを取ります。当時の2大ジュエリーカンパニーであるTrifariやCoroのように専属のデザイナーを持たず、フリーランスのデザイナーや他のジュエリーカンパニー(Delizza and Elster (juliana)など)にデザインを依頼することがありました。

60年代には非常に人気のある会社に成長し、60年代70年代の商品はコレクターに人気です。この頃おそらくSarah Coventryのホームパーティーに行ったことがない女性を見つけるのが難しいぐらいの人気でした。
またゲームショーや、ビューティーコンテストの賞品としてジュエリーを提供したのも非常に有効なマーケティングだったようです。

この頃イギリス、カナダ、オーストラリアなどにも進出します。
また始めた当初はホステス、ファッションリーダーは男性だったのですが、50年代にはほとんどすべて女性になったのもよかったのではないでしょうか。

Midnight Magic 1957 色々なコスチュームジュエリー書籍で見かける人気ピース。

4つに見えるラインストーンはつながった1つの大きなラインストーン。

特徴のあるスタイルは支持され、他のジュエリーブランドに多く見られるラインストーンのきらやかなパヴェスタイルのデザインではなく、大きなマーキスのラインストーンや、カラフルなカボションが特徴的。

『Fun&Eye catching』『For the woman dares to be different』をテーマに個性的で中にはモナリザなどの絵画からインスピレーションを得た作品などがありました。それでいて、価格を抑え誰にでも身につけることのできるジュエリーでした。

人気のコレクトピースにJulianaがデザインを手がけたBlue Lagoon、Touch of Eleganceなどがあります。

Lady Coventry & Lord Coventry 65年〜

Sarah Coventry Lady Coventry 1965 “Theatre”

60年代に入り、新しい流行に合わせたポップなデザインが多く見られますが、それまで通りのクラシックデザインを求める客層のために作られたのがLady CoventryとLord Coventryのラインです。

ジュエリーには通常の刻印が入りますが、専用のジュエリーボックスにはLady CoventryとLord Coventryと入ります。

 

スターリングシルバーのSarah Coventry

レアですが、Sarah Coventryのラインにスターリングシルバーのブローチが60年代にありました。花や動物のモチーフで様々な種類が販売されました。

 

Sarah Coventry スターリングシルバー ブローチ 60年代

腕時計

80〜90年代、ホームパーティーではなく大衆向けのデパートなどで販売されたラインです。

 

大変な人気で多くの女性に愛されたSarah CoventryとEmmonsは1981年倒産し、その扉を閉めます。女性の社会進出により、会社に働きに出る女性が増えホステスが減ってしまったのも一つの原因かもしれません。


のちカナダの会社に買収され1984年から90年代頃まで”Sarah Ann Coventry”として復活しましたが長くは続きませんでした。

刻印

Sarah Coventry (サラ コベントリー) 1949-1981 上の写真以外にもパターンあり。 ”©︎SARAHCOVENRTY” “SAC” など

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